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劣等感の使い方

うつくしくなくてもずっとここにいて好きな服だけ着て生きてやる
(黒井いづみ)

『なんたる星 短歌やめてませんでした号』で、恋をしているさんに言及された一首。
以下引用します。
「この歌は僕が今まで見てきた中でも特に「ブスな歌」って感じがしてめちゃくちゃいいなって思っちゃったんですよね
このブスの厚かましさといったらないですよ!!そしてこれを短歌やめる日に思い出すってのがまた「私はブスだけど、めんどいからブスを辞める気はないし、お前らが何といおうと生き続けしまいには、何かいろんな意味で殺す」というメッセージみたいなものを感じ取ってかなり笑ってしまったので」
※注:この短歌は『なんたる星』の「短歌をやめる日、思い出しそうな一首」を募集する企画に提出したもの

自分の短歌の説明をするのってかっこよくないですけど、どんなふうにこの短歌ができたかについて書きますね。
今でこそ服も化粧品もアクセサリーも大好きだけど、昔は全然好きじゃなかった。厳密に言うと、見るのは好きだけど、買ったり着たりという気にならなかった。
だって似合わないんだもん。服だけ見たらかわいくても、身につけた瞬間にあーだめだって思う。たとえ似合う服があっても、わたしより綺麗なひとが同じ服を着たほうが綺麗に見えるに決まっている。服も、着ている人間も。じゃあもうどうしようもないじゃん、という考えが長いこと染みついていました。
それがだんだん「褒めてくれるひとがいるから着てみよう」「褒めてくれなくてもなんだか楽しい気がする」「褒められなくても自分が楽しいものを着たほうが勝ちだ」となった結果、あの短歌が立ち上がってきたわけです。

恋をしているさんの評を読んでめちゃくちゃ笑った。
「お前らが何といおうと生き続けしまいには、何かいろんな意味で殺す」!!
最高。いつか言ってみたい。
でもこの短歌ができたときにわたしが考えていたことって、結局そういうことだろうなと思った。誰が何と言おうと自分が好きな服を着ていたいし好きなことをしていたい。ちゃんと伝わってる、よかったよかった!!
でも同時に絶望もした。
「自分は綺麗じゃないから綺麗な服を着てはいけない」
という呪いにかかっていたことに気がついてから、少しずつ少しずつ解いてきたつもり。
実際あの短歌ができたときはものすごく解放された気持ちになったけど、評を読んだとき、「自分は綺麗じゃない」っていう呪いの
根本部分は全然解けてないんだ!! と思ってがーんとなった。
世の中の多くの人たちはそんなこと気にせず好きな服を着ているように見えるのに、自分はこんな呪いをいつまでも引きずっているように思えるの、なんかすごく嫌……と思ってまた落ち込む。

スピッツの最新アルバム『醒めない』に収録されている「ブチ」という曲がとても好き。最初はぴんと来なかったけど、聞いているうちにどんどん言葉が立ち上がってきた。

特に好きなのは「しょってきた劣等感 その使い方間違えんな」というところ。すとんと腑に落ちるものがあった。
そうかー、劣等感は劣等感でよくて、使い方を間違えなければいいのか、という。
ということは、わたしの呪いにも使い方があるのか? 前向きな使い方? 何を前向きと呼ぶべきか分からないけれど。
とりあえず、これからも好きな服を着て、好きな本と音楽と舞台をたくさん摂取して生きていきます。
という決意表明がしたい気分だった。
 


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