このブログ、8年目になるみたいです。びっくりー。

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待つだけじゃつまらないから雪の日は雪の日用の花柄を着る

お風呂場で声高らかに歌うときいつも心にある飛び道具

隙あらば踊るし歌も歌うよね山があるから登るみたいに

ちょっとした秘密があって本当はガーナ独立記念日生まれ

ハッピーな花粉舞うけど負けてないかわいいだけで終わりにしない

踊る阿呆に見る阿呆、というやつ、あるじゃないですか。クラシックバレエとコンテンポラリーダンスを覚えたわたし、文字通り「踊る阿呆」の側に来ているということに気づいてしまいました。得してる! 人生得してるぞ!

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春よりも早くわたしが立ちあがる 今から楽しいことだけをする

ドラクエを知らないなりに知っているふしぎなおどりを踊るよろこび

体ひとつ、それもちいさな体しかないけど柄をたくさん載せる

よく知らん人に言われる「かわいい」を乗りこなすけど肯定しない

恋だなあ 困っちゃうなあ ひとごとのように抱えてゆく帰り道

袖口のリボンほどけて旗になる 旗を振ったらパレードになる

パドブレの繰り返しさえよろこんでいつかパソドブレが始まるよ

あけましておめでとうございます。戌年ですが猫派です。

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フカヒレをみんなで食べてとりあえずこれを本物だと定義する

ユーミンと呼んだのはきみ 満月に少し足りないくらいの月だ

きみといて胸、わっ、となる味噌汁を流し込まれた胃袋みたく

教えたいことがたくさんありすぎてきみのLINEに雪を降らせる

何回も聞いてるはずの曲なのになんだかラブソングに聞こえるよ

ひとつだけ魔法があって思いきりドラマチックなスカートを穿く

ワセリンをきみの眉間のかさかさに塗りたいんです付き合ってください


たくさん短歌を作ってたくさん踊った1年でした。来年はもっと楽しいぞ。

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安売りの刺身ひたひた沈めれば小春日和のオリーブオイル

わたしだけ四連休を生きている できないことはあるけどないな

どんなことでも変えたくて日曜の朝から食べている鰤茶漬け

みんな幸せになろうな 手始めにじぶんのために買うプレゼント

ぶかぶかのヒールで坂をのぼっていく 靴が脱げたらじぶんで拾う

映画「ナラタージュ」よかったです。もう1回くらい観たい。

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二度寝から覚めて布団のなかにいる 甘いおこめが歯にひっかかる

町じゅうの時計が少しずれていてどこへ行っても六時のままだ

こんなにも泣いてしまうよ洗剤の投入口に並ぶゆるさで

あのひとの名前を呼べば雨が降るみたいなことだ綺麗に言えば

こんばんはいい月ですね揚げたてのフライドポテトに似ていませんか

好きになるのはなぜだろう小さくてゆがんだ文字を書くひとばかり

ゲームならよかったのになゲームなら生きてるだけでレベルが上がる

わたしあなたのようになりたいつくつくと生えてくる毛を抜くのをやめて

love wellと言わないわけをたずねたら愛は大きさだからと言った

トレンチの袖から袖がみょんと出るような服ばかり集めて暮らす

ひとりでもやるっきゃないなひとつずつ名前の分かる星を増やして

どこまでも青信号が続く道 王蟲がいたらこんなだろうな

泣くまえの息を気配ごと飲みくだす 泣くまえの目のまま歩き出す

我ながらふかふかのいいほっぺたを頬杖にのっけて美女になる

tonightのtはじき出す舌先のかがやくブリティッシュ・アクセント



短歌とダンスのことばかり考えて目が回りそうです。たのしーい。

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洗車っていいな洗車に行くたびに褒めてもらえる車はいいな

晴れたからはじめて分かる 日本海にも青い色 遠浅の場所

いい感じで暮らしたいよねデートしてたくさん葉物野菜を食べて

よそいきの声で話すのやめちゃって君のとなりで野球を見たい

作りたい料理だらだら並べればとめどなく明るくなる視界

恋だって決めてもいいか君を見てひとつ短歌ができそうなこと

窓にワンピース吊るして曇りでもひとりビュッフェのように嬉しい

  • 2017.09.17 Sunday
  • 3050

タイトルは「サーティーフィフティー」と読みます。スピッツは最高。

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今日の日をちょう完璧にしたくっておしゃれな人のコスプレをする

ふっかりと雲のケーキの断面をいくつか抜けて新千歳なう

胃のうえに銀河みたいな渦がありわくわくすると吐きそうになる

思いきり浮かれてるけど許してね、今日がわたしの夏なんだから

届くかな あなたが光だとしたら光を見てる雑魚の役でも

夢だってみんなで見れば夢じゃないピンクと白の紙吹雪ふる

今日という日に完璧なアイライン引いたわたしに120点

高校野球を毎年複雑な思いで見ています。


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なんか今日わたしめちゃめちゃかわいいな一歩も外に出なかったけど

占いが一位の日にも家にいて誰かにあげてしまった一位

食べたいと思うだけでも楽しいよ からあげ、らーめん、だし巻き卵

見つめてるのがいちばんの見返りで 付き合うなんて芸がないよな

三連敗のち三連勝の代わりに二十二連勤二十二連敗

〆切がα切にも見えてくる一体どんな刀だろうか

小麦粉でつくったルーを米にかけ炭水化物きわまるカレー

夢なのに優しくされて嬉しいと思うところだけ本当だった

リザードンみたいな雲だ 野球部のためだけの夏ならいらないな

世界一主人公かもできたての温泉卵の黄身をすくえば

二の腕をどかんどかんと日にさらす夢と野望とそれだけじゃなく

白くないお皿を買えば腕前は上がらないけど気分は上がる

あきらめの悪いじぶんを褒めてやるこの勤務日も柄物まみれ

この頃は四枚切りのトーストのうまさが分かるわたしばんざい

夏だからやっちゃおうって、あれだよな、夏じゃなくてもやっていいよな


物干し竿長い長いと振りながら笑う すべてはいっときの恋
/五島諭(『緑の祠』書肆侃侃房 p.19)

好きな短歌の話をしようと思いながら、なかなか書けずにいた。そのときの気分で好きな短歌は変わるから。
でもいちばん好きな短歌を1首選べと言われたら、どんなときでもきっとこれを選ぶ。この短歌が収録されている歌集『緑の祠』が出版されたのが2013年で、それ以降の4年間ずっと、わたしの選ぶナンバーワン短歌はこの1首だ。どれくらい好きかというと、思い浮かべるたびに胸がうずいて吐きそうになるくらい。比喩ではなく、ときめきすぎると本当に胸がぐるぐるっとなるんです。

この短歌を思うとき、わたしは日差しを感じる。夏の直射日光ではなくて、空気じたいがやわらかく発光しているような晴れの日のやつ、小春日和のイメージ。でも光をあらわす語はひとつも出てこない。
じゃあどこから日差しを感じているんだろう。《物干し竿長い長いと振りながら》って、ぜんぜん特別なことは言っていない。そりゃあ物干し竿なんだから長くないと困るわい、ってつっこみたくなってしまうくらい。でもそういうどうでもいいことで《笑う》のって、後々になっていちばん残しておきたかったのに残らない瞬間になるのかな。その瞬間を尊い、まぶしい、と思うから、日差しを感じてしまうのか。
その、尊い、まぶしい、という気持ちのど真ん中を、《すべてはいっときの恋》でぶち抜いてくるからずるい。毎度毎度ときめきすぎて吐きそうになってしまう。好きな人がすることだったらなんでも、それこそ物干し竿を振り回してはしゃいでる姿もかわいくかっこよくまぶしく見える、そういうささいな瞬間すべて、《いっとき》だけで記憶にも記録にも残らないものでも愛するのだ、と言いきってしまう感じ。《すべてはいっときの恋》じたい相当なキラーフレーズだと思うんですけど、その前の《物干し竿》との組み合わせが完璧すぎるんですよ……好き!!

わたしの中ではこの短歌のイメージソングまで決まっている。スピッツ「君と暮らせたら」「日なたの窓に憧れて」「恋のはじまり」の3曲(1曲に絞れなかった)。
そもそも『緑の祠』という歌集じたい、とてもスピッツっぽいと思います。スピッツリスナーの方にぜひ読んでほしい。



愛してる 何にでも効く最強の呪文ではないけど言わせてね

愛してる つまりはできるだけ長くくすぐりあっていたいってこと

愛してる きみがいなくてさみしいと思っちゃうから正解なんだ

愛してる 互いにつけた傷のこと反省しつつ後悔しない

愛してる 何度も言うよ 対岸に紙飛行機を届けるように


BGM: スピッツ「つぐみ」


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